(3)構造の紹介 東京スカイツリーの構造

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東京スカイツリーは、先進技術を集結して高いレベルの構造安全性を確保しています。
建築の基準において想定を超える直下型地震や2000年に一度あるかないかの強風にも倒れない構造となっています。

まずは未知領域のリサーチからスタート

東京スカイツリーの高さは約634メートル。それまで、日本で最も高い建物は1958年に完成した東京タワーで約333メートルでした。一気に2倍近くの高いタワーをつくるわけですから、まさに「未知の領域への挑戦」であり、安全性を確保するために、まずはその未知領域のリサーチから始めました。

600メートル上空にはどんな風が吹いているのかを調べるため、ラジオゾンデという気象観測気球を飛ばしました。 また、通常の地盤調査に加えて、通常は行わない調査方法(微動アレイ調査)で地下約3キロメートルまでの深い地層構造を調べました。この2つの調査で、地震時にこの場所がどのように揺れるのかをシミュレーションしました。

気象観測用気球(ラジオゾンデ)を飛ばして600メートル上空の風を調査する様子

気球を用いた風調査の様子

大樹のような、地盤とのつながり方

建物は、高くなるほど地震や強風による大きな力を受けます。
そこで、基礎の杭(くい)を、節(ふし)が付いた壁状にして、つまりスパイクシューズの靴底のような形状にすることで摩擦抵抗を大きくして、倒れないようにしています。
また、この杭を連続させ、放射状に地中にはりめぐらせることで、「木の根」のように地盤と一体化する構造にしています。
地上に見えるタワーの鉄骨は、そのまま地下の杭につながっていて、力をダイレクトに伝えています。
これらの構造によって、東京スカイツリーは、大地から生えてきた大樹のように立っているのです。
地下深くにはりめぐらされた「木の根」のようなナックルウォールの構造概念図

杭の概要図(地下からの見上げ)
提供:日建設計

つないで一体化する鉄骨の工夫

部材として「高強度鋼管」という、標準的な鉄よりも約2倍強い鉄を使用しています。タワー足元の鉄骨は、直径2.3メートル、厚さ10センチメートルという巨大なものです。

塔体の構造は「トラス構造」という、主材、水平材、斜材からなる各部材を三角形状に接合していった骨組みです。

各部材の接合は、「分岐継手」と呼ばれる、鋼管同士を、プレートなどを介することなく直接、溶接接合する方法として、力がスムーズに伝わるようにしています。これは、見た目にもシンプルで、さびにも強いというメリットもあります。

巨大な塔体鉄骨をクレーンで吊り上げて設置する最初の鉄骨取付け工事の様子

2009年4月6日に撮影した、最初の塔体鉄骨取付けの様子。
この鉄骨は高さ約4メートル、直径2.3メートル、厚さ10センチメートル、重さは約29トン。

鋼管同士をプレートを介さず接合する「分岐継手」の3D形状図

分岐継手の概要図
提供:日建設計

鉄骨造塔体の概要

鼎(かなえ)トラス
4本の柱と水平材・ブレース材からなる組柱。三角形の平面形の各頂点位置に配置している。水平方向からかかる力に耐える。
水平連結トラス
中塔-リングトラスを2層毎(25メートル)に連結する柱。 水平力(面内)の伝達部材及び、鼎トラス・外周柱 を補強する役目。
リングトラス
1層ごと(12.5メートル)に配置する水平材。外周柱を補強する役目。
鼎トラスや水平連結トラスなどで構成された鉄骨造塔体の断面構造図

鉄骨造塔体の概要図
提供:日建設計

[ 1 ] 東京スカイツリーの誕生
  • 東京スカイツリーの建設
  • 「タワーのある街」東京スカイツリータウン
  • 東京スカイツリーが建つ場所
  • 東京スカイツリーの名前
  • 海外からのお客様に向けて
[ 1 ] 東京スカイツリーの概要
[ 2 ] 東京スカイツリーの各部紹介
  • 東京スカイツリーのエレベーター
  • 東京スカイツリーのライティング
  • 東京スカイツリーのデザイン
[ 3 ] 東京スカイツリーの構造紹介
  • まずは未知領域のリサーチからスタート
  • 大樹のような、地盤とのつながり方
  • つないで一体化する鉄骨の工夫
  • 鉄骨造塔体の概要
[ 4 ] 塔体のしくみ
  • 約3万7000ピースで組まれた塔体
  • ゆれを小さくするしくみ
[ 5 ] 高さ634メートルに到達するまで
[ 1 ] 東京スカイツリーの役割
  • 高さ634メートルの決定
  • 電波塔としての役割
  • 展望施設としての役割
[ 2 ] 災害時の役割
  • 大災害時も電波塔としての役目を果たす
  • 東京スカイツリーの構造自体が災害に強い
  • 環境への配慮
[ 3 ] 研究拠点としての役割