ライティングデザイン
過去と未来をつなぎ、みんなの心に届く光でありたい。
江戸で育まれてきた心意気の「粋」と、美意識の「雅」という2つのオペレーションが1日毎に交互に現れる新しいスタイルのライティングで、今日に続く明日、明日の先に続く未来を表現しました。随所に江戸の原風景を継承するデザインを取り入れることで、タワーの立つ下町の歴史文化を表します。
基本コンセプト
・下町~東京~日本へ広がる地域性
・江戸~現代~未来へつながる歴史性
・地球にやさしく環境時代にふさわしい象徴性
照らしている部分と陰になる部分が一体となって美しく感じられるライティングに取り組むとともに、最先端の照明技術を駆使し、環境時代を迎えた21世紀にふさわしい、省エネルギーと美しさが両立するデザインとしました。地域のシンボルとして、東京スカイツリーは過去と未来をつないで輝き続けます。
演出ポイント
1.日本人の心意気、美意識を纏う光
■心意気の「粋」
心意気を示す「粋」の姿では、隅田川の水をモチーフとした淡いブルーの光でタワーを貫く心柱を照らし出します。大地から力強く立ち上がり、隠さないで中を見せるイメージからは、気風の良さや潔さを感じることができます。
■美意識の「雅」
美意識を示す「雅」の姿では、鉄骨の細かな構造体を衣に見立て、優雅で気品あるイメージを表現します。江戸紫をテーマカラーとし、金箔のようなきらめきのある光をバランスよくちりばめます。
2.江戸の原風景を未来へと継承する趣
■光の冠雪
タワー頂部の光と二つの展望台を挟んで鉄骨構造体を照らす光が、タワーの裾野に向かってグラデーションを描き地面に溶け込んでいく様子は、江戸の原風景である富士山が雪を頂いた姿を重ねています。
■時を刻む光
展望台の上部に並ぶ流星のようなきらめき。一定の速さで周り続けるこの光は、過去と未来を結ぶ時を刻む光を表現しています。
3.タワーの個性、建築デザインを活かす光
■鉄骨構造体のライトアップ
タワーの頂部を照らす光は、空に向かってたくましく伸び、私たちの夢や希望を乗せて、宇宙に向かって力強く輝きます。鉄骨を照らす光は、タワーのもつ「そり」と「むくり」の美しさを際立たせます。
■地球
環境時代を迎えた21世紀では、省エネルギーと美しさが両立する新しいライトアップのあり方が問われます。東京スカイツリーでは、日本で育まれた「陰影礼賛」(*1)の考えに習い、照らしている部分と陰になる部分が一体となって美しく感じられるライトアップに取り組んでいます。照明器具や施工に関しても、世界に誇る日本の技術を結集し、LEDをはじめとする長寿命で高効率な光源を積極的に採用する予定です。600mを超える高層タワーでは、天候によって輝き方が様々に変化することもあるでしょう。自然現象とひとつになった東京スカイツリーを見て、より多くの人が地球のこと、環境のことを意識していただけたら、と私たちは願っています。
*1 陰影礼賛:谷崎潤一郎の随筆。西洋化が進む中で、日本伝統の美意識の大切さを説いた。現代においても、複数の建築関係者が日本の伝統的な明かりの在り方を見直すべきとの考えで引用している。
ライティングデザイナー
戸恒浩人(とつね ひろひと)氏
| 略歴 | |
| 1975年 | 東京都出身 |
| 1997年 | 東京大学工学部建築学科卒業 |
| (株)ライティングプランナーズアソシエーツ入社 | |
| 2005年 | (有)シリウスライティングオフィス設立 |
主な作品
- ・浜離宮恩賜庭園ライトアップ 中秋の名月と灯り遊び
- ・ホテル日航東京チャペル ルーチェマーレ
- ・情緒障害児短期治療施設
- ・日本経済新聞社 東京本社ビル
他 住宅、商業施設、オフィスビル、ホテルなど多数
過去100年未来100年、みんなの心に届く光をデザインしたい。
江戸から東京へと受け継がれてきたこの都市の歴史を見ると、全国から集まってお互いに切磋琢磨しあう人々の姿がいつも主役になっています。江戸幕府以降、日本の中心として繁栄し、昔の文献や絵画には、街の歴史や文化、そこに暮らす人々のコミュニティや生活が生き生きと描かれています。
私は、東京のシンボルとなる新しいタワーを、この街とともに人々が育んできた心意気の「粋」と、美意識の「雅」で包みたいと考えました。下町に根ざし、天まで届きそうに高くそびえる東京スカイツリー。永遠に続く江戸の心を光で表現し、過去100年未来100年、みんなの心に届く光をデザインしたいと思います。




















