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TOKYO SKYTREE

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スペック

構造設計

まずは未知領域のリサーチからスタート

東京スカイツリーの高さは約634m。現在、日本で最も高い構造物は1958年に完成した東京タワー(設計:当社)で約333m。約50年を経て、一気に倍近くの、これまでになかった高さに挑むわけですから、最先端技術を駆使した「未知の領域への挑戦」といえます。その安全性を確保するために、まずはその未知領域のリサーチから始めました。

600m上空にはどんな風が吹いているのかを調べるため、ラジオゾンデという気象観測気球を飛ばして、高層での風速分布や風の乱れを調べました。 また、通常の地盤調査に加えて、通常は行わない調査方法(微動アレイ調査)で地下3km程度までの深い地層構造を調べることにより、地震時にこの場所がどのように揺れるのかをより正確にシミュレーションしています。

これら緻密な調査からさまざまな設計の工夫やその検証を経て、通常の超高層建築物の設計では想定しない地震や暴風に対しても安全性を確認しています。

気球を用いた風調査の様子気球を用いた風調査の様子

大樹のような、地盤とのつながり方

地盤とのつながり方のイメージ

建物は、高くなるほど地震や強風時の揺れによって、基礎部分に大きな「引き抜き力」「押し込み力」がかかります。このタワーのように細長い場合には、特に大きな力がかかります。

そこで、基礎の杭を、節の付いた壁状のものにすることで摩擦抵抗を大きくして、これに抵抗しています。この節は、いわば「スパイクシューズの靴底」のようなものです。また、この壁杭を連続させ、放射状に地中に張り巡らせることで、「木の根」のように地盤と一体化することを意図しています。

また、地上に見えるタワーの鉄骨は、そのまま地下の杭に連続的に接続し、力をダイレクトに伝達しています。これを逆にいえば、「大地から生えてきた大樹のように建っている」ともいえるでしょう。

つないで一体化する鉄骨の工夫

部材として「高強度鋼管」という、標準的な鉄骨よりも約2倍強い鉄を使用しています。タワー足元の鋼管は、直径2.3m、厚さ10cmという巨大なものです。
塔体の構造は「トラス構造」という、主材、水平材、斜材からなる各部材を三角形状に接合していった構造体骨組みです。各部材の接合は、「分岐継手」と呼ばれる、鋼管同士を、プレートなどを介することなく直接、溶接接合する方法としています。これは、見た目にもシンプルで、防錆性能上もメリットが得られます。

ここで用いた大断面で高強度な鋼管の「分岐継手」は、建築で行われることはあまりないため、海洋構造物(例えば石油掘削ジャケット)などの工事で用いられる規準に基づいて設計しているのです。

  • 2009年4月6日撮影、地上部最初の塔体鉄骨取付けの様子。この鉄骨は高さ約4m、直径2.3m、厚さ10cm、重さは約29t2009年4月6日撮影、地上部最初の塔体鉄骨取付けの様子。この鉄骨は高さ約4m、直径2.3m、厚さ10cm、重さは約29t
  • 分岐継手の概要図分岐継手の概要図
鉄骨造塔体の概要
鼎(かなえ)トラス 4本の柱と水平材・ブレース材からなる組柱。三角形の平面形の各頂点位置に配置している。
水平荷重に抵抗する主要架構となる。
水平連結トラス 中塔-リングトラスを2層毎(25m)に連結する柱。 水平力(面内)の伝達部材及び、
鼎トラス・外周柱 の座屈補剛材として働く。
リングトラス 1層毎(12.5m)に配置する水平材。外周柱の座屈補剛材として働く。
鉄骨造塔体の概要図鉄骨造塔体の概要図

五重塔のような、制振構造

地震や強風時の揺れに対し、いかに安心・安全な建物とするかさまざまに試みた結果、中央部に設けた鉄筋コンクリート造の円筒(=心柱*)と外周部の鉄骨造の塔体を構造的に分離し、中央部の心柱上部を「重り」として機能させた、新しい制振システムを用いています。

原理としては「質量付加機構*」という現代の制振技術を応用したもので、大地震時に40%程度の応答せん断力を低減することができます。一方、日本の伝統的な塔である「五重塔*」は、これまでに地震による倒壊例がなく、その秘密は、同じく建物中央の柱=心柱にあると推察されています。

634mという塔を現代の技術でつくろうと試みた結果、いわば、現代の最新技術と伝統的構法が出会ったわけです。そこで、今回の制振システムを五重塔になぞらえて、「心柱制振」と呼んでいます。

五重塔のイメージ
質量付加機構

地震時などに、構造物本体とタイミングがずれて振動する付加質量(=重り)を加えることで、本体と重りの揺れを相殺させて、構造物全体の揺れを抑制する制振システムです。付加質量には、通常、鋼塊やコンクリート塊が用いられますが、質量の大きい設備機器や畜熱槽等を質量に利用する例もあります。今回のように、心柱=階段室を付加質量に用いた例は世界初です。

質量付加機構の概要図質量付加機構の概要図
五重塔

日本独自の木造建築物です。台風や火事による倒壊はあるものの、地震による倒壊の記録は残っておらず、耐震性に優れた建物といわれています。高い耐震性の理由にはさまざまな説がありますが、「心柱」が大きな役割を果たしていると考えられています。

心柱

本来は五重塔など仏塔の中央部に建てた柱のことです。東京スカイツリーにおいては、同じく中央部に建てられる円筒部(鉄筋コンクリート造、内部は階段室)を指します。

心柱解説図心柱解説図

コンテンツ提供:日建設計

日建設計:「東京スカイツリー設計プロジェクト」日建設計:「東京スカイツリー設計プロジェクト」
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